結論から言えば、私は、AI時代になっても学習塾は必要だと考えています。
ただし、これまでと同じように、ただ勉強を教えるだけの塾でよいとは思っていません。
AIはすでに、数学の問題を解き、英語を翻訳し、理科や社会の質問に答え、難しい問題でも分かりやすく解説してくれます。しかも、24時間いつでも質問でき、何度同じことを聞いても嫌な顔をしません。
では、そんな時代に、子どもたちがわざわざ学習塾に通う意味はどこにあるのでしょうか。
私は長年、愛知県瀬戸市で、小学生から高校生まで多くの子どもたちと向き合ってきました。そして今、AIの進化を実際に目の当たりにする中で、塾の役割は大きく変わろうとしていると感じています。
これからの学習塾に求められるのは、単なる「ティーチング」や「コーチング」だけではありません。
寄り添うこと。共感すること。そして、子どもとともに歩くこと。
私は、これからの塾には「伴走者」としての役割が、これまで以上に必要になると考えています。
AIは「教えること」が得意になった
少し前まで、分からない問題があれば、学校や塾の先生に聞くのが普通でした。
しかし今では、ChatGPTをはじめとする生成AIに問題を入力すれば、すぐに答えを教えてくれます。「もっと簡単に説明して」と頼めば、小学生にも分かるように説明してくれます。
英語、数学、理科、社会。
こうした教科の知識を教えたり、問題の解き方を説明したりすることについて、AIはすでに非常に高い能力を持っています。
これからさらにAIが進化すれば、「分からない問題を教えてもらう」という目的だけで塾に通う必要性は、今より小さくなるかもしれません。
私は、塾を経営する立場だからこそ、この現実から目をそらしてはいけないと思っています。
「AIにはできないことがあるから、今まで通りで大丈夫」
そう考えるのではなく、
「AIがこれほどまでに教えられる時代に、人間の先生にしかできないことは何だろう」
と考える必要があります。
子どもは「分からないから」勉強しないとは限らない
AIは、問題の解き方を教えることができます。
しかし、子どもが勉強できない理由は、本当に「解き方が分からないから」だけでしょうか。
私は、そうは思いません。
「勉強しなければいけないと分かっている。でも、やる気になれない」
「一度失敗してから、自信をなくしてしまった」
「頑張っても結果が出ないから、もうやりたくない」
「何のために勉強するのか分からない」
「学校や友達のことで悩んでいて、勉強どころではない」
子どもが机に向かわない背景には、さまざまな気持ちがあります。
表面だけを見れば、「やる気がない子」に見えるかもしれません。
でも、その奥には、自信のなさや不安、失敗への恐れ、誰にも言えない悩みが隠れていることがあります。
そんなとき、本当に必要なのは、正しい解答でしょうか。
私は、まずその子の話を聞くことだと思います。
「どうしたの?」
「何かあった?」
「今日はしんどそうだね」
そうやって、自分のことを見てくれる人がいる。
自分の気持ちを分かろうとしてくれる人がいる。
それだけで、もう一度前を向けることがあります。
AIには答えられても、「その子自身」を見ることは簡単ではない
AIは、「やる気が出ないときはどうすればいいですか?」という質問には答えられます。
しかし、教室に入ってきた子どもの表情を見て、
「今日はいつもと違うな」
と感じることは、人間の先生だからこそできる大切な役割だと私は考えています。
いつもよく話す子が、今日は黙っている。
問題を解く手が、いつもより遅い。
何気ない一言に、少し元気がない。
もちろん、人間だからすべてを見抜けるわけではありません。見落とすこともあります。
それでも、毎週顔を合わせ、同じ教室で時間を過ごし、その子の成長を見守るからこそ気づける変化があります。
そして、ときには、
「大丈夫?」
という一言が、その子にとって大きな意味を持つことがあります。
教育とは、正解を教えることだけではありません。
私はそう思っています。
これからの塾は「教える場所」から「伴走する場所」へ
これまでの学習塾では、先生が知識を持ち、生徒に教えるという関係が中心でした。
先生が教える。
生徒が覚える。
問題を解く。
テストで点を取る。
もちろん、これからも学力を伸ばし、志望校合格を目指すことは、学習塾として大切な役割です。
しかし、それだけでは十分ではない時代が来ています。
AIが知識を教えてくれるなら、人間の先生は何をするのか。
私は、こう考えています。
寄り添う。
共感する。
伴走する。
子どもが迷ったときに話を聞く。
失敗したときに、一緒に原因を考える。
自信を失ったときに、その子がこれまで頑張ってきたことを思い出させる。
そして、自分は何をしたいのか、何のために学ぶのか、将来どんな人になりたいのかを一緒に考える。
答えを与えるのではありません。
その子自身が、自分なりの答えを見つけるまで一緒に歩く。
それが、これからの塾に求められる大切な役割ではないでしょうか。
AI時代だからこそ、日本語力が重要になる
AI時代になると、英語やプログラミングがますます重要になる。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし私は、それ以上に、母国語である日本語の力が重要になると考えています。
AIに何を聞くのか。
AIの答えをどう理解するのか。
その情報は本当に正しいのか。
自分は何を考え、何を伝えたいのか。
これらすべての土台にあるのが、「読む力」「考える力」「言葉にする力」です。
文章を正確に読むことができなければ、AIの回答を正しく理解することもできません。
自分の考えを言葉にできなければ、AIに適切な質問をすることも難しいでしょう。
だからこそ私は、小学校低学年のうちから、本や新聞を読み、その内容について考え、自分の言葉で表現する力を育てることが、これからますます重要になると考えています。
AIが発達すればするほど、人間には「問いを立てる力」が求められます。
そして、良い問いを生み出すためには、日本語で読み、考え、表現する力が欠かせません。
学力の偏差値だけでなく、「心の偏差値」を育てたい
もう一つ、AI時代だからこそ大切になるものがあります。
それは、人と関わる力です。
自分の気持ちを理解する。
相手の気持ちを想像する。
意見の違う人の話を聞く。
失敗しても、もう一度挑戦する。
自分を律する。
誰かと協力する。
こうした力は、テストの点数や偏差値だけでは測ることができません。
私はこれを、**「心の偏差値」**と考えています。
どれほどAIが発達しても、人は一人だけで生きていくわけではありません。
家族がいます。
友達がいます。
学校があります。
職場があります。
社会があります。
人と関わりながら生きていく以上、他者を理解し、自分の気持ちを伝え、協力する力は必要です。
だからモリヒサMAETAでは、学力だけではなく、EQや非認知能力を含めた「心の偏差値」を育てることも大切にしています。
瀬戸市で子どもたちと向き合ってきて思うこと
私は長年、愛知県瀬戸市で子どもたちと向き合ってきました。
小学生、中学生、高校生。
一人ひとり性格も違えば、得意なことも違います。
すぐに結果が出る子もいれば、時間をかけて少しずつ伸びていく子もいます。
だから私は、子どもを点数だけで見たくありません。
もちろん、学習塾ですから、成績を上げることも、志望校に合格することも大切です。その責任から逃げるつもりはありません。
しかし、一度のテストの点数だけで、その子の可能性が決まるわけではありません。
今できないことが、ずっとできないとは限りません。
大切なのは、その子自身を見ることです。
何が得意なのか。
何に興味を持っているのか。
何につまずいているのか。
何を怖がっているのか。
そして、どんな未来を思い描いているのか。
AI時代になっても、私は、こうした教育の本質は変わらないと思っています。
むしろ、AIが発達するからこそ、より大切になるのではないでしょうか。
よくある質問
Q.AIがあれば、もう塾に通う必要はありませんか?
A.AIを上手に使えば、問題の解説や学習のサポートを受けることができます。しかし、子どもの学習には、知識や解き方だけでなく、学習習慣、モチベーション、自信、進路への迷いなど、さまざまな要素があります。私は、これからの塾には「教えること」だけでなく、子ども一人ひとりに寄り添い、成長を支える役割が必要だと考えています。
Q.AI時代に子どもが身につけるべき力は何ですか?
A.私は、母国語である日本語を正確に読み、論理的に考え、自分の言葉で表現する力が非常に重要だと考えています。また、粘り強さ、自制心、共感力、コミュニケーション力といった非認知能力やEQも、これまで以上に大切になるでしょう。
Q.小学校低学年から何を学ばせればよいですか?
A.先取り学習を急ぐことだけが答えではありません。文章を読むこと、自分で考えること、自分の気持ちを言葉にすること、他者と関わること、失敗してももう一度挑戦すること。こうした学びの土台をつくることが大切だと私は考えています。
AI時代にも、子どもには人が必要だと思う
AIは、これからさらに進化するでしょう。
今はできないことも、数年後には当たり前にできるようになっているかもしれません。
だからこそ、私たち教育に携わる人間も変わらなければなりません。
これまでと同じことを、これまでと同じ方法で続けるだけではいけないと思っています。
しかし、一つだけ、変わらないものがあります。
子どもが悩んだときに、話を聞いてくれる人。
失敗したときに、一緒に考えてくれる人。
頑張ったときに、「よく頑張ったね」と言ってくれる人。
自分でも気づいていない可能性を信じてくれる人。
AI時代だからこそ、子どもには人が必要なのではないでしょうか。
モリヒサMAETAは、これからも瀬戸市で、子どもたち一人ひとりに寄り添い、共感し、ともに歩く存在でありたいと思っています。
教えるだけではなく、伴走する。
学力の偏差値だけではなく、心の偏差値も育てる。
そして子どもたちが、自分なりの志を見つけ、自分の人生を歩んでいけるように支えていく。
それが、AI時代におけるモリヒサMAETAの役割だと、私は考えています。